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2025/03/28 実績 / 人的資本経営
テレワーク成功の鍵は「対話」と「可視化」実践事例と効果的な運用方法
近年、多くの企業がテレワークを導入していますが、運用面での課題に直面するケースも少なくありません。特に「コミュニケーションの希薄化」「業務進捗の見えにくさ」「従業員の孤立感」などは、テレワークの普及とともに顕在化する問題です。
本コラムでは、Web制作を手がける企業の事例を紹介しながら、テレワークの成功要因として「対話の促進」と「業務の可視化」の重要性を解説します。どのように課題を克服し、効果的なテレワーク運用を実現したのか、その実践的な手法をご紹介します。
目次
テレワーク導入の背景と課題
相談の背景
この企業は、Web制作事業を展開する10名規模の企業です。コロナ禍の影響で、多くの企業が急遽テレワークを導入しました。この企業も例外ではなく、柔軟な働き方を実現するためにテレワークの導入を決定しました。しかし、実際に運用を開始すると、離職率の増加や、出社者とリモートワーカーのコミュニケーション格差など、さまざまな課題が浮かび上がりました。
テレワーク導入後の課題
離職率の増加:コロナ禍においてテレワークを導入したものの、従業員の退職が増加。この運用が適切なのか、企業としても模索していました。新しい働き方に適応できない、業務の不透明さを感じる、または対面の交流不足による不安を抱えるメンバーが増えました。
テレワークと出社者のコミュニケーション格差:テレワークをしている従業員と出社している従業員の間で、コミュニケーションの密度に差が生まれ、テレワークメンバーの関与度が低くなる傾向が見られました。
代表自身の業務集中の困難:テレワーク中のメンバーにより意識を向ける必要があり、代表自身が業務に集中しにくい状況が発生。意思決定や経営に割ける時間が圧迫されるという課題も浮上しました。
コミュニケーションの希薄化:対面でのやり取りが減少し、チームメンバー間の情報共有が滞る。
業務進捗の可視化が難しい:誰が何を担当しているのか、進捗状況が見えにくくなる。
孤立感の増加:在宅勤務者が、チームから取り残されていると感じることが増えました。
これらの課題は、従業員のエンゲージメント低下や生産性の低下につながる可能性がありました。
解決策としての「対話の促進」と「業務の可視化」
テレワーク環境下では、従業員同士の自然な対話が減少し、孤立感が生まれやすくなります。この問題を解決するために、意図的に対話の機会を増やし、組織内の関係性を強化することが重要です。また、業務を可視化し、遠隔地からでも誰がどのような業務を行なっているのか見えるようにする仕組みが必要です。以下の取り組みを実施しました。
インタビューの実施と企業文化の再考
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- テレワークを行う社員がどのように感じているのか、どのような課題を抱えているのかを把握するために、個別インタビューを実施。社員が抱える悩みや不安を把握し、対策の方向性を定めました。
- インタビューの結果、社内には『察する文化』が根付いており、対面での業務では暗黙の了解で成立していた部分が、テレワーク環境では障害となることが判明しました。
朝礼時の「顔出し」ルールの導入
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- テレワーク中の朝礼では、全員がカメラをオンにすることを義務化。これにより、対面での会話に近い形でコミュニケーションができ、メンバーの体調や雰囲気を把握しやすくなりました。
「オープンチャット」の活用
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- 個別のダイレクトメッセージではなく、チーム全体が参加できるオープンチャットを活用。これにより、誰が何をしているのかをリアルタイムで共有しやすくなりました。
共有カレンダーの活用
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- 各メンバーのスケジュールを可視化し、会議や業務の進行状況をチーム全体で把握できるようにしました。
成果と今後の展望
取り組みの成果
これらの施策を導入した結果、この企業では以下のような成果が得られました。
エンゲージメント向上:定期的な対話の機会を設けることで、テレワーク環境下でもチームの一体感が保たれ、メンバー同士の協力関係が強化されました。
生産性の向上:タスク管理ツールと共有カレンダーの活用により、業務の進捗が明確になり、業務効率が向上しました。
離職率の低下:従業員の不安を解消し、組織の結束を強化することで、離職を防ぐことに成功しました。
今後の展望
この企業では、今後も「対話」と「可視化」を軸に、より柔軟な働き方を推進していく予定です。
「察する文化」から「言語化文化」への転換
社内文化として『察する文化』が根付いていることが明らかになったため、より明確なコミュニケーションを促すために、意見を言語化する文化を醸成する取り組みを強化。
評価制度の見直し
従業員の成果をより適正に評価できる仕組みを整備し、モチベーション向上を図る。テレワーク環境に適した評価基準を策定し、業務の貢献度を公平に評価できるシステムを導入予定。
これらの取り組みにより、より柔軟で生産性の高いテレワーク環境の構築を目指しています。
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