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2024/02/06 人的資本経営 / 人材育成/研修
アンコンシャス・バイアス研修は意味がないのか!?
アンコンシャス・バイアスは、我々が日常生活で取る様々な行動や意思決定に影響を与える心理的な要因の一つです。このバイアスは個々の無意識に根ざしており、しばしば我々の意識には気づかれずに様々な社会的な判断や態度に影響を与えています。本コラムでは、アンコンシャス・バイアス研修の欠点、研修をうまく活用するために注意すべきことについて見ていきます。
目次
アンコンシャス・バイアスの基本
アンコンシャス・バイアス研修の欠点
アンコンシャス・バイアスの企業研修も増えており、アンコンシャス・バイアスという言葉は次第に定着してきているのかなと感じます。
しかし、ハーバード・ビジネスレビューには驚くべき事実が記載されていました。それは、アンコンシャス・バイアス研修を実施してもバイアスがかかった行動は変わらないことが確認されたのです。
研修を実施することでバイアスは避けられないという感情が芽生え、差別を減らすどころか助長することにつながる恐れがあるということです。
これらの結果につながるアンコンシャス・バイアスの研修はどのような共通点があるのでしょうか。
組織の一部のメンバーに限定して行っている
アンコンシャス・バイアス研修は、自分自身の無意識の言動について考えるため、痛みを伴う研修です。また、無意識であるがために研修の必要性を感じづらいという点もあります。
そのため、ほとんどの組織は、社員の反発を恐れて、研修の参加を希望者に限定しています。希望者はすでにバイアスについての知識があり、減らしたいと考えている社員になるわけです。
アンコンシャス・バイアスは、組織的な取り組みが必要になります。そのため一部の社員のみの参加は、効果が限定的になってしまいます。
当社は、アンコンシャス・バイアスは、役職者ほど無意識に出やすいものであるため、研修の内容は、役職者向け、一般向けと分けて実施をしますが、必ず全員に受講いただいています。
バイアスに関する科学的事実や弊害について説明するだけで、それ以上踏み込んでいない
アンコンシャス・バイアスの事例が極端で、社員に逃げ道を与えてしまう
不当な扱いやハラスメントの極端な例に焦点を当てているために、一部の社員は「自分は絶対そんなことはしない」と研修に関心を示さなくなってしまいます。
極端なケースを扱うことも重要ですが、研修で焦点を当てるべきは、リーダーや社員が他者をそれとなく排除したり、他者の貢献を過小評価したりする状況です。
こうした状況は職場の至るところで起きています。当社では、職場で日常的に起きるさまざまな状況を動画で紹介し、ディスカッションを取り入れています。
アンコンシャス・バイアス研修のより有効なアプローチ
具体的なツールを提供する
自分にバイアスがあると認識していても、バイアスにどの程度支配されているか、その結果、どういう状況が起きているかについては認識が不足していることが多いです。そのため、具体的なツールを使い、誰もがある程度は無意識バイアスに影響を受けることを理解したもらった上で、それぞれのバイアスレベルについてフィードバックを行います。
固定観念を打ち破る訓練を行う
自分自身や他者に関してどのような固定観念を抱いているかによって、行動は大きな影響を受けます。当社では対話型アート鑑賞の手法を交えて、固定観念を打ち破る訓練を行います。アートを見て、自分の解釈を話し合うのですが、そこには自分の価値観が言葉に表れます。他者の解釈を聴く中で、多様なものの味方を学ぶことができます。
改善にコミットする
アンコンシャス・バイアス研修では、バイアスを減らす動機についてもリーダー、社員がじっくりと考える時間を設けることが必要です。さらに、時間とともに社員の行動が変わっているかを追跡して、社員に責任をもたせることも重要です。