愛知・岐阜・三重で経営診断や業務改善を行うビズユーコンサルティング「コラム・実績」ページ

MENU CLOSE

コラム・実績 News

2025/04/04 組織開発 / コーチング

なぜ若手が辞めるのか?〜物語が交差する職場のつくり方〜

若手離職

「突然、辞めたいと言われた」「不満はなさそうだったのに」──そんな経験はありませんか?多くの中小企業で、離職の背景には「わかってもらえない」という気持ちが潜んでいます。給料や待遇の問題だけでなく、自分の考えや気持ちを話せない職場で、人は静かに離れていきます。本稿では、社員の声が埋もれてしまう理由と、そこにある「対話の不足」に注目します。社員一人ひとりが、自分の物語を語れる職場。そんな「物語が交差する場」をつくるためのヒントを、具体的にお伝えしていきます。

目次

1. 離職が多い職場で何が起きているのか?

2. 「物語が交差する場」が生み出す組織の力

3. 対話文化を育むために、経営者ができる3つの実践

離職が多い職場で何が起きているのか?

「わかってもらえない」から、静かに人が去っていく

「どうして急に辞めてしまったのか分からない」「普段は何も言わなかったのに」──これは、近年多くの中小企業で聞かれる声です。表面的には大きな不満を表明することもなく、静かに離職の意思を固めていた――そんなケースが増えています。

背景にあるのは、価値観の変化です。
特にZ世代と呼ばれる若手社員は、「意味がある仕事をしたい」「自分らしさを大切にしたい」といった内面的な動機を重視する傾向があります。
かつてのように「黙って耐える」「とにかく3年続ける」という考え方とは一線を画しており、「なぜこの仕事をやるのか」「この組織にいる意味はあるのか」を常に問いながら働いています。

ところが、その価値観に上司や経営者が向き合わず、「今の若い者はわがままだ」「甘えている」と一蹴してしまえば、若手は「わかってもらえない」「自分の意見なんて聞いてもらえない」と感じ、早晩その職場から離れていきます。

ここで起きているのは、単なる世代間ギャップではありません。
それぞれが持っている「仕事観」「人生観」といった“物語”が交わらないことによる、対話の断絶です。

「違い」が見えない組織は、内側から壊れていく

こうした問題が顕在化しづらい理由のひとつに、表面的な“平和”があります。
職場で衝突が少ない、波風が立たない──それ自体は一見良いことに見えますが、実はその裏で「本音が言えない」「違和感があっても黙ってしまう」という空気が広がっていることも少なくありません。

とある中小企業の事例では、定期的な1on1や評価面談で「特に不満はありません」と言っていた若手社員が、ある日突然、退職を申し出たことがありました。
その理由を離職面談で初めて聞いたところ、

  • 「この仕事に意味を感じられなかった」
  • 「自分の意見を言える雰囲気ではなかった」
  • 「否定されるのが怖くて、本当の気持ちを話せなかった」

という声が返ってきたのです。

つまり、「違い」を出すことができなかった、あるいは出すことにリスクを感じていたために、本来ならば共有されていたはずの「葛藤」「価値観のズレ」「未来への不安」が共有されることなく、離職という結果に至ったのです。

「言ってくれればよかったのに」では遅い

このようなケースで経営者が口にするのが、「何か言ってくれればよかったのに」という言葉です。
しかし、社員からすれば「言っても意味がない」「どうせ受け入れられない」と思っていることが多く、すでに“あきらめ”が根付いている可能性があります。

ここで重要なのは、「言わない」のではなく「言えない」という現実に気づくことです。
対話が機能していない職場では、「違い」は表出されずに沈黙として蓄積し、やがて信頼の断絶、そして離職につながります。

これは、単に若手の問題ではありません。管理職同士、経営層と現場、パートスタッフと社員――立場や役割の違いがある限り、職場には常に「見えない違い」が存在しているのです。

「違い」は職場の“リスク”ではなく“資産”になる

対話を避ける職場では、違いは「面倒なもの」「衝突のもと」として扱われがちです。しかし実際は、「違い」を健全に表出できる場があることで、組織は以下のような力を手に入れます。

  • 新しい視点やアイデアが生まれる
  • 認知のズレが早期に共有され、軌道修正ができる
  • 社員が自己理解を深め、主体的に動くようになる

つまり、「違い」が対話を通じて交差し合うとき、組織の学習と進化が起きるのです。

そのためにはまず、社員一人ひとりが「自分の物語を語れる場」を持つこと。
そして経営者自身が、「私はあなたの話を聞く準備がある」「違いは歓迎されるものだ」というメッセージを態度で示すことが不可欠です。

「物語が交差する場」が生み出す組織の力

対話とは「違いを持ち寄り、意味を共創する」プロセス

対話とは、単なる雑談や会議ではありません。互いの背景や価値観、過去の体験という“物語”を持ち寄り、それらを交差させることで、新しい意味や理解を創っていく営みです。

たとえば、「最近モチベーションが上がらなくて…」とつぶやいた部下に対し、「最近忙しいからな」と返すのではなく、「それって、何がそう感じさせてるの?」と問いかけてみる。その一言で、相手の物語が立ち上がります。

そして、部下が「実は、今の仕事に意味を感じられていない」と話し始めたとき、そこから「じゃあ、どんな仕事なら意味を感じられる?」「それを今の仕事とつなげる方法はあるかな?」という探索的な対話が始まります。

マネジメントは「物語を探る探偵」であれ

マネジメントの本質は、人の“行動の背景にある意味”を理解することです。これを象徴的に語っているのが、有名なイソップ物語の「レンガ職人の寓話」です。

同じ仕事でも「見ているもの」が違う

ある旅人が道端で働く3人のレンガ職人に、それぞれ「あなたは何をしているのですか?」と尋ねます。

  • 最初の職人は言いました。「見て分からないか?レンガを積んでいるんだよ」
  • 次の職人は言いました。「大きな壁を作っているんだ」
  • 最後の職人は、こう答えました。「私は、歴史に残る大聖堂をつくっているんです」

彼らがしている仕事は、すべて「レンガを積む」こと。しかし、見ている“目的”や“意味づけ”がまったく違います。最初の職人は、ただ与えられた作業をこなす人。二人目はプロジェクト単位で捉えています。そして三人目は、自分の仕事の先にある社会的意義を見据えています。

この違いが、その人のモチベーションや成長意欲、創造性を大きく左右します。

経営者がすべきは「意味の問い」を立てること

マネージャーや経営者がすべきことは、社員一人ひとりの「今、この仕事をどう捉えているのか」という物語=意味のレイヤーにアクセスすることです。

たとえば、毎日営業報告をしている社員がいたとしても、

  • 「ノルマをこなすための作業」と捉えているのか、
  • 「お客様の役に立っているという実感」を得ているのか、
  • 「自分の成長や夢のステップ」として捉えているのか

──その解釈は人それぞれです。

ここで、「どんな思いで今この仕事をやってる?」「この仕事に、どんな意味を感じてる?」という問いを投げかけることが、物語を引き出す第一歩になります。

そして、その物語を一緒に眺め、「どうすれば、あなたがより意味を感じられる仕事になるか?」を共に考える。それが、対話的マネジメントの要です。

対話文化を育むために、経営者ができる3つの実践

①「問い」を変える:「どうした?」より「どう感じた?」

対話を生むには、マネージャー側の“問い”を変える必要があります。
事実確認ではなく、主観や意味を探る問い──たとえば「それって、あなたにとってどういう意味?」「なぜ、それが気になるの?」といった問いかけは、社員にとって「話してもいい」と感じさせる入口になります。

②「話す」前に「聞く」:耳を傾ける姿勢が信頼をつくる

経営者や上司が「正しい答え」を先に出してしまうと、対話は生まれません。
相手のペースで、相手の物語を聞き出す“間”が重要です。
部下の「実は…」を引き出せるマネージャーは、それだけで人材育成の達人と言えるでしょう。

③対話を「日常の営み」に落とし込む:1on1・朝礼・定例会議の活用

対話は特別な時間にだけ行うものではありません。1on1ミーティングや朝礼、定例会議など、日常的な場面に「意味を問い合う」時間を意識的に組み込むことが重要です。

たとえば、「今週一番うれしかったことは?」「この1ヶ月で印象に残っている学びは?」といった問いを投げるだけでも、社員の物語を可視化できます。

まとめ:社員の「物語」に触れることが、経営の力になる

経営とは、数字を動かすことだけではなく、「人の意味」を支える営みでもあります。社員一人ひとりの物語が交差し、そこから新しいビジョンが生まれるとき、組織は進化します。あなたの会社に、社員が安心して違いを語れる場はありますか?「物語が交差する」対話の文化を育むことは、これからの経営における最大の資産になるはずです。

ビズユーコンサルティングでは、対話を生み出す組織づくりのご支援をしています

ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の人材育成や組織の課題に合わせて、具体的かつ実践的なサポートをご提供いたします。

お問い合わせはこちら
初回相談は無料です。以下のフォームからご相談をお寄せください。