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2025/05/09 組織開発

人事評価は「目標設定」で決まる

人事評価 目標設定

中小企業における人事評価制度は、単なる社員の序列付けや賞与査定のためではなく、企業の成長戦略を支える「人材育成の仕組み」として機能させることが求められます。しかし現場では、評価すること自体に意識が偏り、最も重要な「目標設定」が疎かにされる例が少なくありません。本コラムでは、「人事評価は目標設定が9割」であるという視点から、目標設定の重要性と、具体的な設計方法について解説してまいります。

目次

1. 人事評価においてなぜ目標設定が9割を占めるのか

2. 抽象目標からの脱却

3. 目標設定を「組織の戦略」から逆算する

人事評価においてなぜ目標設定が9割を占めるのか

人事評価制度の運用においては、「どのように評価するか」ばかりが注目されがちですが、実態として、人事評価の成否の9割は目標設定の段階で決まっているといっても過言ではありません。この点を理解するためには、人事評価制度の目的そのものに立ち返る必要があります。すなわち、人事評価とは単なる結果測定ではなく、社員の成長を促進し、組織全体の成果を最大化するためのプロセスであるという基本認識です。この認識に立ったとき、なぜ目標設定が9割を占めるのか、その理由は次の2点に整理されます。

目標設定が曖昧であれば、評価基準も曖昧になる

どれほど丁寧に評価を試みても、そもそもの目標が抽象的・漠然としていれば、公平かつ納得感のある評価は不可能です。例えば「顧客満足度を高める」「リーダーシップを発揮する」といった曖昧な目標では、評価者ごとに判断が分かれ、社員も「何を頑張ればよいか」がわからず、努力の方向性を見失います。結果として、不満が蓄積され、制度自体への信頼も損なわれていくのです。

目標設定が適切であれば、評価は自動的に整う

反対に、適切な目標設定──すなわち、数値目標や具体的な行動レベルでの期待値が明示されていれば、評価作業は自然と標準化されます。評価者の主観的な判断余地は小さくなり、誰が見ても同じ結論に至る透明性が確保されます。さらに、社員側も「目指すべきゴール」と「達成すべき行動」が明確になるため、自律的な成長が促進され、結果的に組織全体のパフォーマンスも向上することとなります。

ここで特に留意すべきは、人事評価のバラツキに悩む企業の多くが、解決策として「評価者研修」に依存しがちであるという点です。確かに、評価者間で共通の基準意識を醸成することは一定の効果があります。しかし、本質的な原因が目標設定の甘さにある場合、いくら評価者研修を重ねても問題の解決には至りません。評価の基準自体が曖昧であれば、どれだけ優れた評価者であっても、その判断には必然的にバラツキが生じるためです。言い換えれば、目標設定が具体的・明確であれば、評価作業の難易度は大幅に下がり、評価者間のブレも自然と縮小するのです。したがって、評価のバラツキを真に解消するためには、まず目標設定プロセスの見直し・再構築を優先的に行うべきである、との結論に至ります。

抽象目標からの脱却

「目標設定が大事」とお伝えすると、多くの経営者・人事担当者から「そんなことは分かっている」という反応が返ってきます。しかし、実際に目標設定シートや目標管理票(MBOシート)を拝見すると、「売上拡大を目指す」「お客様満足度を高める」といった、どのように評価するのか分からないほど抽象的な表現が並んでいる例が非常に多いのが現実です。

このような抽象的な目標設定では、評価者ごとの解釈の幅が広がり、結局、評価結果にバラツキが生じる原因となります。また、評価される社員側も、何をどのように努力すればよいのかが明確でないため、主体的な行動が取りづらくなるという副作用を生みます。では、形骸化しない目標設定を実現するためには、何が必要なのでしょうか。ここで重要となるのは、目標設定において次の2つを明確にすることです。

達成基準を明示すること

まず第一に、何をもって「達成」と判断するのかを、明確な数値や具体的な行動レベルで定義する必要があります。

例えば、

  • 「売上拡大」ではなく「今期売上を前年比105%達成する」

  • 「顧客満足度を高める」ではなく「顧客アンケート評価で平均80点以上を取得する」

といった具合に、客観的に測定可能な形で目標を設定するべきです。さらに重要なのは、単なる数字合わせではなく、行動の質も併せて基準に含めることです。たとえば営業職であれば、「新規顧客20件開拓」だけでなく、「毎月5件の商談を設定し、成約率50%以上を維持する」といった行動プロセスにも目標を設定することで、努力の方向性がより具体的に示されます。このような「結果」と「プロセス」の両面をカバーする目標設定こそが、社員の納得感を高め、制度の形骸化を防ぐ鍵となります。

成果への道筋を議論すること

第二に、目標設定にあたっては、単に数値目標を押し付けるのではなく、その数字を達成するためには何が必要かについて、上司と部下がしっかり議論し、道筋を描くプロセスを必ず踏むべきです。

たとえば、前年比105%の売上達成という目標に対して、

  • どの市場に注力するのか

  • 新規顧客のターゲット像はどう設定するのか

  • 既存顧客への提案機会をどのように増やすのか

といった具体的な戦略やアクションプランをすり合わせていきます。このプロセスを省略すると、目標が「ただのノルマ」となり、社員のモチベーション低下や、行動のズレを招く結果となります。また、議論を通じて道筋を合意形成することで、社員自身が「この目標は自分ごとである」と主体的に認識できるようになり、目標達成に向けた行動の質と量が飛躍的に向上する効果も期待できます。

このように、目標設定の段階で、どれだけ具体と納得感を作り込めるか。これこそが、人事評価制度を単なる形式から、実効性ある成長支援の仕組みへと進化させるための絶対条件であると断言できます。形だけの目標設定では、評価も人材育成も形骸化します。逆に、具体性と合意形成を重視した目標設定を徹底すれば、評価制度は社員の成長を支える強力な武器へと変わるのです。

目標設定を「組織の戦略」から逆算する

人事評価における目標設定は、単なる個人タスクの積み上げではありません。企業経営の観点から見れば、組織の成果を最大化するためには、会社全体の戦略目標を起点に、そこから逆算してチーム・個人の目標を設計していく必要があります。個々の社員が努力しても、その方向性がバラバラであれば、組織全体の成果にはつながりません。だからこそ、全社の目標から順を追って落とし込む視点が重要となるのです。ここからは、戦略に基づいた目標設定を実現するための具体的なステップを見ていきます。

会社全体の成果目標を明確にする

人事評価における目標設定は、単なる個人タスクの積み上げではありません。企業経営の観点から見れば、会社が目指す成果を起点に、戦略的に逆算して設計されるべきです。まず出発点となるのは、会社全体で達成すべき成果目標を明確にすることです。たとえば、「売上高前年比120%達成」「新市場シェア5%獲得」など、数値と期限を伴う具体的な目標を設定することが不可欠です。

成果目標に基づきチーム目標・戦略を描く

次に、全社目標を受けて、各部門やチームごとに求められる成果と役割を明確にします。ここでは、単なる数値目標の割り振りだけでなく、「どのような戦略・行動計画を通じて達成するのか」を具体化することが重要です。たとえば営業部門であれば「新規開拓数〇件」、開発部門であれば「新製品リリース件数〇件」といったように、チーム単位で目標と戦略を明文化します。

チーム目標を個人目標に分解する

続いて、チーム目標を個々の社員の役割に応じて分解し、個人目標に落とし込む作業が必要です。たとえば営業担当であれば、「月間5件の新規商談設定」「成約率30%以上達成」など、具体的な成果目標を設定します。このプロセスを丁寧に行うことで、個々の努力がチーム成果へ、ひいては全社成果へと一貫して結びつく仕組みが生まれます。

個人目標に紐づく成長期待を設定する

個人目標の設定に加えて、それを達成するために必要な成長期待も明示することが重要です。単なる成果主義に陥るのではなく、「どのようなスキルや行動力を身につけてほしいか」を具体的に示す必要があります。たとえば、「チームミーティングを主体的に運営する」「後輩指導のため月1回フィードバック面談を行う」といった、行動レベルに落とし込んだ成長期待を設定します。

戦略から逆算した目標設定が強い組織をつくる

このように、会社の成果目標から、チーム目標、個人目標、成長期待へと戦略的に逆算して目標設定を積み上げていくことで、社員一人ひとりの努力が組織全体の成果と直結するようになります。その結果、単なる目標管理制度にとどまらず、組織に一体感と主体性が芽生え、持続的に成長できる「強い組織文化」が醸成されるのです。

まとめ:人事評価は目標設定が9割

本稿で繰り返し述べたように、人事評価は目標設定が9割です。曖昧な目標設定では、どれだけ厳密に評価を試みても、社員の納得感や成長にはつながりません。また、評価のバラツキを是正しようと安易に研修に頼る前に、目標設定の質を根本から見直すべきです。一方で、戦略に基づき、具体性と納得感を備えた目標設定がなされれば、評価作業はむしろ容易になり、社員の行動も成果に直結しやすくなります。いま一度、貴社の「目標設定」のあり方を点検してみてはいかがでしょうか。人事評価制度の真価は、「社員が自ら成長を実感できる仕組み」をつくることにあります。その第一歩として、目標設定の質を高める取り組みを、ぜひ着実に進めていただきたいと願っています。

人事評価制度の設計支援や、評価者向け研修の実施を実施しています

人事評価を単なる制度運用にとどめることなく、経営戦略と人材育成の中核に位置づけることで、企業の持続的な成長と、社員一人ひとりの力を引き出す組織づくりをお手伝いしています。「制度を形だけで終わらせたくない」「現場に根づく本質的な人事評価を実現したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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