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2025/05/16 組織開発 / 研修
評価制度に納得感が生まれない本当の理由とは?

「評価制度をつくれば、社員の不満が減るはずだ」そう考えて評価制度を導入したにもかかわらず、かえって現場に混乱が生じているという声が、中小企業の経営者や人事担当者から多く寄せられています。なぜこのような“期待外れ”が起こるのでしょうか。その背景には、評価制度に対する二つの大きな誤解があります。評価制度の導入は、単に「仕組みを整える」ことではなく、それを運用するマネジメント層の“力量”が問われる取り組みです。本コラムでは、評価制度と納得感の関係をひも解きながら、制度を本当に「人を育てる仕組み」として機能させるために必要な視点とスキルを詳しく紹介します。
目次
評価制度をつくれば納得感が生まれるという誤解
評価制度は“器”にすぎない
評価制度はあくまで「枠組み」です。企業が評価制度を設ける背景には、社員のモチベーションを高めたい、公平な処遇を実現したい、あるいは組織としての成果を高めたいといった意図があります。しかし、この“器”をどう使うかは、現場のマネジメント次第です。
たとえば、「評価シートを導入したが、結局上司の主観で点数がつけられている」「制度はあるのに、その意図が社員に説明されない」といった声が現場から上がるケースは少なくありません。制度が整っていても、それを支える土台となるマネジメントのスキルやスタンスが伴わなければ、評価は形骸化し、むしろ不信感を招く結果となります。
評価は「人を見る力」と「対話力」があってこそ
評価とは、本来、社員の行動や成果だけでなく、その背景にある努力や挑戦、工夫などのプロセスまでを見極める作業です。しかし、そのような“人を見る力”は、一朝一夕に身につくものではありません。
また、評価は「伝え方」も重要です。「なぜこの評価なのか」「どのように成長を期待しているのか」といったメッセージが、社員一人ひとりの心に届くように伝えることが求められます。このときに求められるのが“対話力”です。評価とは「一方的に点数をつけること」ではなく、「相手と向き合い、納得感をつくるコミュニケーションの場」なのです。
したがって、評価制度を導入する際には、その制度を運用する上司やマネージャーが適切なトレーニングを受け、「評価者としてのスキル」を習得する必要があります。制度づくりとマネジメント育成は、セットで考えるべきなのです。
評価スキルとは「期末の評価スキル」という誤解
実は“目標設定”が9割を占める
多くの企業では、評価において期末の成績判断やフィードバックのやり方に注目が集まりがちです。しかし、実際に評価を納得感あるものとして機能させるには、「期初の目標設定」が極めて重要です。
なぜなら、どんなに公正で的確なフィードバックをしても、その元となる目標設定が曖昧であったり、本人の業務実態と合っていなかったりすると、「そもそもその目標が適切だったのか?」という疑問が残り、納得感を得ることは困難だからです。
評価は“スタート”でほぼ決まる。これは実際のマネジメント現場で数多くの事例から見えてきた事実です。
対話によって合意された目標こそ評価の出発点
目標設定において重要なのは、上司が一方的に数値目標を押しつけるのではなく、「この目標が何のためにあるのか」「その人のキャリアや強みとどうつながるのか」といった背景を丁寧に対話しながら設定することです。
社員が目標に“自分ごと感”を持ち、自ら進んでチャレンジするような状態をつくることが、期中の行動にも好影響を与えます。また、目標設定の段階で納得感が醸成されていれば、期末の評価もスムーズに受け入れられる可能性が高まるのです。
納得される評価制度には3つの対話スキルが必要
評価制度は「対話の技術」で運用される
評価制度の納得感を高めるためには、上司が次の3つのタイミングで適切に対話を行うことが求められます。これらのプロセスは単なる形式ではなく、マネジメントとしての本質的な「関わり方」です。
期初:目標設定の対話スキル
目標設定の段階では、「何をどのように目指すのか」「どのように取り組めばよいのか」「何を成長の軸とするのか」など、多面的な視点で対話を行います。ここでの対話は、“期待の共有”であり、信頼関係の土台にもなります。目標をただ“与える”のではなく、共に考え、納得できる目標に“合意する”ことがポイントです。これにより、社員のモチベーションや自律性が引き出され、評価制度が“管理の道具”ではなく、“成長支援の道具”に変わります。
期中:軌道修正の対話スキル
どんなに適切に目標を設定しても、現場では予期せぬ変化や障害が生じることがあります。そこで重要なのが、「目標達成に向けた継続的なフォロー」です。上司は、定期的な1on1や進捗確認の場を活用し、現状の課題を共有し、必要に応じて目標や手段を柔軟に見直す必要があります。これにより、社員は「見守られている」「サポートされている」と感じ、安心して挑戦を続けることができます。
期末:フィードバックの対話スキル
評価結果を伝える場面では、「何を評価したのか」「なぜその評価なのか」「次にどう活かせるのか」を明確に伝えることが不可欠です。また、結果に対して一方的に評価を伝えるのではなく、社員の自己評価や振り返りを聞きながら、今後に向けた“フィードフォワード”の視点を持つことが大切です。このような対話が、評価を通じて社員を“動機づける”契機となるのです。
まとめ:評価制度の成否を分けるのは、上司の“関わり方”
評価制度が「人を裁く仕組み」ではなく、「人を育てる仕組み」になるためには、制度設計よりもまず、評価者の“対話する力”が問われます。中小企業においては、評価制度そのものよりも、「現場での対話の積み重ね」が制度の信頼性をつくり出します。評価制度は、単なる“仕組み”ではなく、社員と上司の関係性を映し出す“鏡”でもあるのです。対話なくして納得感なし。評価制度の見直しをお考えの方は、まず自社のマネジメントスキルの現状を見つめ直し、制度と対話の両輪で「育てる評価」を実現していきましょう。
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