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2025/06/13 組織開発
社員の定着は“偶然”ではなく“戦略”である
「最近の若い人はすぐ辞める」「うちの職場には根気がない」こうした声を、私たちは日々多くの中小企業から耳にします。確かに、終身雇用や年功序列が前提とされていた時代と比べて、社員が会社に求めるものは大きく変化しています。では、その変化に対して、私たちの組織やマネジメントのあり方は十分に適応できているでしょうか?本コラムでは、「若手社員が辞める3つの根本要因」と「今すぐ見直すべき対策」について、経営と人事の視点から整理します。社員の離職を“個人の問題”として片付けるのではなく、“組織としての課題”として捉え直す第一歩にしていただければ幸いです。
目次
若手社員が辞める3つの主な理由とは?
入社前の期待と現実のギャップ
多くの若手社員が入社後間もなく離職する理由のひとつが、「説明と実態のギャップ」です。たとえば、「主体的に活躍できる環境」と聞いて入社したのに、実際は上司の指示待ち文化だったり、成長機会が少なかったりすれば、早期離職に直結します。このギャップは、採用時の“言い過ぎた魅力”や“曖昧な表現”が原因であることも少なくありません。
対策のポイント
- 採用ページや面接での情報は「誠実かつ具体的」に
- 実際の社員の1日の仕事例、成長事例を開示
- 「大変なところも含めて」伝えることが信頼につながる
職場の人間関係と心理的安全性の欠如
どれだけ魅力的な制度や待遇があっても、「人間関係が良くない職場」からは社員は離れていきます。特に若手社員は、直属の上司や先輩との関係性、職場での安心感を重視する傾向が強いと言われています。「質問すると怒られる」「相談しづらい雰囲気がある」こうした空気感が、退職のトリガーになっているケースは非常に多いのです。
対策のポイント
- 定期的な1on1面談による対話機会の確保
- 感謝・承認の文化を仕組み化する
- 上司の“聴く力”を育てるマネジメント研修
キャリア観の多様化と“転職前提”の価値観
近年の若手社員の多くは、「この会社で一生働き続ける」という発想を持っていません。むしろ、「自分のスキルを伸ばし、必要に応じて転職する」というキャリア観が主流になりつつあります。これは決して“悪いこと”ではなく、現代の働き方として自然な流れです。しかし、企業側がこれに気づかず、昭和型の“忠誠心前提”でマネジメントしてしまうと、社員との意識のズレが広がり、結果的に離職につながります。
対策のポイント
- キャリア面談の実施とライフプランへの理解
- 社員の「3年後・5年後のありたい姿」を共有
- 自社でスキルが積める構造を説明・設計する
採用時点での“ズレ”を防ぐ情報設計とは?
採用活動は「マーケティング」である
求職者の多くは、求人広告、採用ページ、口コミサイト、説明会など複数のチャネルで情報を得ています。その際、企業が伝える情報がバラバラだったり、「キラキラしすぎて現実と違う」と感じられたりすると、信頼を失い、早期離職の原因になります。
改善の鍵は、“採用情報の一貫性”と“具体性”
改善策
- ミッション/ビジョン
- キャリアステップの実例
- 入社3年目社員のリアルな声
などを一貫したトーンで発信し、「誠実な企業」というブランドづくりに寄与する必要があります。
「離職率を下げたい」と思ったら、“オンボーディング”を見直す
オンボーディングとは、新入社員が職場に適応し、早期に成果を出せるようにする初期支援プロセスです。これが形だけになっている企業は、離職リスクが高まります。
改善策
- 入社1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月面談のルール化
- メンター制度の導入(教える側の研修もセットで)
- 成果ではなく“行動や姿勢”の承認を重視
「関係の質」が定着率を左右する理由
組織が持つべきは「制度」よりも「関係資産」
中小企業にとって、「大企業並みの福利厚生」や「圧倒的な給与水準」は現実的ではありません。しかし、唯一対抗できるのが“関係の質”です。社員が「この職場には味方がいる」「自分の成長を見てくれる上司がいる」と思えれば、他社からのオファーがあっても、簡単には辞めようとは思いません。
“中堅社員の定着”が若手定着のカギになる
若手社員の退職理由の中に、「相談できる先輩がいなかった」という声がよくあります。実は若手の離職を防ぐには、中堅層の定着と育成が鍵なのです。
- 「この先輩みたいになりたい」
- 「あの人がいるから辞めたくない」
こうした“人への信頼”こそ、最も強力な離職防止策になります。
対策
- ミドル層のマネジメント研修
- フィードバック文化の醸成
- 中堅社員への「感謝の見える化」
まとめ:離職を防ぐのは“制度”より“関係”と“信頼”
社員が辞める理由は多様化しています。しかし、その根底には「期待と現実のズレ」「人とのつながりの希薄さ」「自分の未来が見えない不安」があります。だからこそ、給与や制度の前に、
- どれだけ本音で話せる場があるか
- どれだけ社員の成長を応援しているか
- どれだけ「ここにいてもいい」と感じられるか
これらが問われています。「辞めない社員」を探すのではなく、「辞めたくないと思える職場」をつくる。その一歩として、今日から何を変えるかを考えていただければ幸いです。
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